矯正器具の上からマウスピースは装着できる？

歯並びを整えている期間中にスポーツをする際、矯正器具の上からマウスピースを装着すること自体はできます。

ただし、装着する矯正器具の種類や口の中の状態によって、適したマウスピースの選択が異なってくるでしょう。

歯科医師による確認を受けながら、個々の状況に合わせた対応が必要です。

矯正器具の種類別の装着可否

固定式のワイヤー矯正を装着している場合、専用に設計されたマウスピースの使用が考えられます。

そうしたマウスピースは、ブラケットやワイヤーといった矯正装置が当たる部分に、あらかじめ空間（溝やくぼみ）が設けられていることがあり、装置を保護しながらお口の中を守れる可能性があります。

マウスピース型の矯正装置を使用している場合は、矯正用のマウスピース自体がある程度の保護機能を持つものの、スポーツ時の衝撃吸収には十分とはいえない場合があるようです。

このため、激しいコンタクトスポーツに参加する際には、別途スポーツ用マウスガードの装着を検討することが望ましいでしょう。

口の中の負担とリスク

矯正器具の上からマウスピースを装着する際には、いくつか留意すべき点があります。

ブラケットやワイヤーが頬の内側や唇の裏側といった口の中の柔らかい部分に接触することで傷つける恐れがあります。

また、歯並びを整えている期間中は歯が移動している状態のため、通常よりも外部からの衝撃に対して敏感になっている可能性があるでしょう。

マウスピースによる保護は、歯や歯周組織への過度な力の伝達を分散させる役割を担うと考えられています。

歯科医が確認するポイント

歯科医師は、マウスピースの作成前にいくつかの項目を確認します。

矯正装置の種類と配置状況を詳しく評価し、どのようなマウスピースが適しているかの判断材料とします。

次に、ご自身が参加するスポーツの種類や衝撃の強さを考慮し、必要な保護レベルを見極めることが大切です。

口の中の軟組織の状態や、既存の傷や炎症の有無も重要な確認事項の一つとなるでしょう。

さらに、歯列の形状や噛み合わせの状態から、マウスピースの適合性を予測する必要性が生じることもあります。

これらの情報を総合的に判断することで、ご自身に適したマウスピースの選択や製作につながるでしょう。

矯正器具の上からマウスピースを使うメリットとデメリット

矯正器具の上からマウスピースを装着することには、口の中を保護する点などの利点がある一方で、いくつかの制約も考えられます。

ここでは、主なメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

矯正器具の上からマウスピースの主なメリット

矯正器具を装着したままマウスピースを使用するメリットの一つは、口の中の保護が期待できる点です。

スポーツ中の接触や転倒により顔面に衝撃が加わった場合、マウスピースが衝撃を吸収し分散させることで、矯正装置自体の保護にもつながる場合があります。

ブラケットの脱離やワイヤーの変形といった装置の破損を防ぐことで、当初の矯正計画の遅延を避けられる場合があるでしょう。

さらに、マウスピースの使用により、矯正中でもスポーツ活動を継続できるという精神的な支えになることもあります。

学生アスリートや社会人スポーツ愛好家にとって、矯正と競技を両立できることはうれしいポイントですよね。

矯正器具の上からマウスピースの主なデメリット

一方で、矯正器具の上からマウスピースを装着することには、いくつかの課題も考えられます。

まず、通常のマウスピースと比べてフィット感を確保することが難しい場合があります。

ブラケットやワイヤーの凹凸により、市販の既製品では十分にフィットしない可能性があるでしょう。

また、矯正の進行に伴って歯列が変化し、マウスピースのフィット感が変わり、定期的な調整や作り直しが必要になるケースがあるため、費用面での負担が増える恐れがあります。

さらに、装着時の違和感や話しにくさが通常より強く感じられることがあるでしょう。

特に、厚みのあるマウスピースを使用する場合には、呼吸や発音への影響を感じやすくなる可能性もあります。

適応条件と注意すべきケース

矯正器具の上からマウスピースを使用する際には、いくつか考えられる適応条件があります。

まず、矯正装置が口の中で安定して固定されていることが重要です。

装置が緩んでいたり、一部が外れかけていたりする状態では、マウスピースの使用により症状が悪化する恐れがあるためです。

また、口の中に炎症や傷がある場合には、まずその状態が落ち着くまで待った方がいいでしょう。

激しいコンタクトスポーツに参加する場合には、歯科医師による個別の評価とカスタムメイドのマウスピースを用意することが望ましいといえます。

一方、格闘技やボクシングなど顔面への直接的な打撃を伴う競技では、矯正中の参加自体を慎重に検討する必要があります。

矯正器具の上からマウスピースを選ぶときのポイント

矯正器具を装着している状態でマウスピースを選ぶ際のポイントがあります。

ここでは、選択時の重要なポイントを詳しく解説します。

素材とフィット感の見分け方

マウスピースの素材は、保護性能と快適性に影響する場合があります。

素材には、エチレン酢酸ビニル共重合体やシリコーンエラストマーなどが使われることが多いようです。

エチレン酢酸ビニル共重合体は、柔軟性と衝撃吸収性のバランスが取れた素材として広く用いられる傾向にあります。

シリコーン素材は、柔らかく口の中での違和感が少ないという特徴がありますが、丈夫さがやや劣る場合もあるようです。

フィット感を確認する際には、まず口を開けた状態でマウスピースが外れてしまわないかをチェックしてみましょう。

次に、呼吸や発音がしやすいか、吐き気が起きないかを確認しましょう。

矯正器具との接触により違和感や痛みが生じる場合は、装着を中止して歯科医師に相談した方がいいでしょう。

スポーツ用マウスガードとの違い

一般的なスポーツ用マウスガードと、矯正器具対応のマウスピースには設計上の違いがある場合があります。

通常のマウスガードは、歯列に密着する形状で作られている場合が多いのに対し、矯正器具対応品はブラケットやワイヤーを避けるための空間が設けられていることがあります。

この空間により、装置と直接接触することなく保護機能を発揮できるよう設計されています。

また、矯正器具対応のマウスピースは、矯正の進行に伴う歯列の変化にある程度対応できるよう、やや余裕のある設計となっている場合があります。

一方、通常のマウスガードは精密な適合を重視するため、歯列が変化すると使用できなくなる可能性があります。

スポーツの種類や衝撃の強さに応じて、適切な厚みや硬さの製品を選択することが求められます。

矯正器具の上から使うマウスピースの正しい装着とケア方法

マウスピースを適切に使用するためには、正しい装着方法と適切な手入れが大切です。

ここでは、日常的な取り扱いの基本を詳しく説明します。

正しい装着と取り外しの手順

マウスピースを装着する際には、まず手をよく洗い、清潔な状態で取り扱うように心がけましょう。

マウスピースを水またはぬるま湯で軽く濡らすと、装着しやすくなる場合があります。

上顎用のマウスピースは、前歯部分を先に合わせてから、指で全体を歯列に押し込むように装着するようにします。

矯正器具がある場合は、ブラケットに引っかからないよう慎重に行い、装着後は軽く噛み合わせて全体の適合を確認することが推奨されます。

取り外す際は、奥歯の部分から指を入れて、ゆっくりと外すように心がけましょう。

無理に引っ張ると、矯正器具が外れたり破損したりする恐れがありますので注意しましょう。

使用後は速やかに洗浄し、専用のケースに保管することが望まれます。

マウスピースの清掃とメンテナンス

マウスピースを清潔に保つことは、口の中の健康を維持するために大切とされています。

使用後は毎回、流水で汚れを洗い流し、柔らかい歯ブラシで優しくこすり洗いするといいでしょう。

歯磨き粉の使用は、マウスピースの表面に傷をつける可能性があるため避けた方が無難です。

専用の洗浄剤や中性洗剤を使用するのもいいでしょう。

熱湯での洗浄は、素材の変形を招く恐れがあるため避けるようにしましょう。

洗浄後は十分に乾燥させてから、通気性のあるケースに保管することを推奨します。

定期的に、マウスピースにひび割れや変形、すり減りがないかを確認することも大切です。

トラブル時の応急処置と受診の目安

マウスピース使用中に何らかのトラブルが発生した場合、適切な対応が求められます。

装着中に痛みや違和感が生じた場合は、直ちに取り外して口の中を確認し、矯正器具による傷や炎症が見られる場合は、マウスピースの使用を一時中止しましょう。

矯正装置が外れたり変形したりした場合は、できるだけ早く歯科医院を受診することをおすすめします。

以下のような症状がある場合には、速やかに歯科医師の診察を受けましょう。

これらの症状を放置すると、より深刻な問題につながる可能性があるため、早期の対応が大切になってきます。

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矯正器具の上から使うマウスピースについてよくある質問