鼻整形の拘縮は防げるの?仕組み・要因・対処の選択肢などを解説
「鼻整形を受けたいけれど、拘縮(こうしゅく)が心配」という声を耳にすることがあります。
拘縮とは、施術後に傷が治る過程で組織が硬くなり、鼻の形や動きに影響を与える可能性がある現象を指します。
この記事では、鼻整形における拘縮の仕組みや要因や拘縮が起きた場合の対処法について詳しく解説します。
大阪大学皮膚科・形成外科
大阪警察病院形成外科勤務
愛媛大学医学部非常勤講師
インディアナ大学医学部解剖学講座講師
※本記事は2025年12月時点の情報をもとにまとめています。
※鼻の美容施術は保険診療が適用されない自由診療となります。
※記事内の金額は税込です。
※鼻の美容施術に用いられる機器の中には、国内において医薬品医療機器等法上の承認を受けていないものもあります。未承認の医薬品・医療機器については、「個人輸入において注意すべき医薬品等について」(厚生労働省)をご覧ください。
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鼻整形で起こる拘縮とは?
鼻整形の施術後に、鼻の組織が硬くなったり動きが制限されたりする現象を拘縮と呼びます。
拘縮は、傷が治る過程で生じる反応の一部ですが、過度に進行すると見た目や機能に影響を及ぼす可能性があります。
まずは、拘縮がどのようなものなのか、基本的な情報を押さえておきましょう。
拘縮の概要
拘縮とは、施術後の傷が治る際に、皮膚や皮下組織が収縮し硬くなる現象を指す言葉です。
鼻整形では、人工物を挿入したり、軟骨を移植したりする過程で組織に刺激が加わります。
その結果、体が異物や外傷に反応して線維性の組織を形成し、周囲の組織が硬化する場合があるのです。
これは、傷を修復しようとする体の防御反応の一環と考えられています。
拘縮が起きる仕組み
施術後、体内では炎症反応が始まり、線維芽細胞(せんいがさいぼう:傷を修復する細胞)が活性化するとされています。
この細胞がコラーゲンなどの線維を過剰に生成すると、組織が硬くなり、柔軟性が失われることにつながることがあります。
さらに、プロテーゼなどの異物が体内に存在する場合、その周囲に被膜(ひまく:異物を包み込む薄い膜)が形成される場合があります。
この被膜が厚くなったり収縮したりすることで、拘縮が進行する可能性が考えられます。
軽度から重度までの症状
拘縮の症状は、軽度なものから重度なものまでさまざまです。
状態によって見られる変化や感覚には個人差があります。
| 鼻を触ったときにやや硬さを感じる程度で、見た目にはほとんど変化がない場合もある。 | |
| 鼻が強く硬直し、表情を変えても鼻が動かないといった状態になる可能性がある。鼻先が短く見えたり、不自然に尖って見えたりするなど、外観に影響を及ぼす場合もある。 |
鼻整形と拘縮の主な要因
拘縮が起こる背景には、いくつかの要因が絡み合っていると考えられています。
施術の方法や使用する材料、そして個人の体質など、多岐にわたる要素が関係しているとされます。
ここでは、拘縮の主な要因として考えられる点について見ていきましょう。
手術操作や解剖学的な要因
施術の際に組織を大きく剥離したり、細かい血管を傷つけたりすると、炎症反応が強まる可能性があります。
炎症が長引くと、線維組織の形成が過剰になり、拘縮につながる場合があります。
また、鼻の構造は繊細であり、皮膚が薄い部位では傷の治り方にも個人差が出やすいとされています。
プロテーゼや異物材料の影響
シリコンやゴアテックスなどの人工物を挿入する施術では、異物反応が起こる可能性があります。
異物反応とは、体が人工物を異物と認識し、その周囲に被膜を形成する現象です。
この被膜が厚くなったり収縮したりすると、拘縮が進行し、鼻の形に変化がある場合もあります。
自家組織(ご自身の体から採取した軟骨など)を使用する場合でも、組織の採取部位や移植方法によっては同様の反応が生じる可能性も否定できません。
ご本人の体質や創傷治癒の違い
傷の治り方には個人差があり、線維組織を多く形成しやすい体質の方もいらっしゃいます。
特に、ケロイド体質(傷跡が盛り上がりやすい体質)の方は、拘縮のリスクが高まる可能性があるでしょう。
また、傷の治癒に影響を与える要因として、以下のような点も挙げられています。
- 年齢
- 健康状態
- 喫煙習慣
これらの要素を事前に把握しておくことが望まれます。
術前設計や術後管理の状況
施術前のカウンセリングや設計が十分でないと、術前の設計がうまくいかない場合があります。
また、施術後の管理が適切でないと、感染や炎症が長引き、拘縮のリスクが高まる可能性があるでしょう。
定期的な経過観察や、問題が生じた際の迅速な対応が重要と考えられます。
鼻整形後の拘縮はどのように診断するか?
ここでは、施術後の変化をどのように見極め、専門的な検査を通じて拘縮を診断するのかを解説します。
術後の早期サインと自覚症状の見極め
施術後、数週間から数ヶ月の間に、鼻の硬さや動きの制限が徐々に現れる場合があります。
初期には、鼻を触ったときに違和感を覚える程度かもしれません。
しかし、時間が経つにつれて硬さが増したり、鼻の形が少しずつ変わったりする場合は注意を払うとよいでしょう。
こうした変化に気づいたら、早めに施術を受けたクリニックに相談することが大切です。
視診と触診で確認するポイント
医師は、まず目視で鼻の形や左右差、皮膚の状態などを確認することが多いです。
次に、触診によって鼻の硬さや被膜の厚さ、動きの制限の程度を評価します。
拘縮が疑われる場合、触れたときに通常よりも硬く、柔軟性が失われている場合があります。
こうした所見をもとに、さらに詳しい検査を行うかどうかを判断していく流れとなるでしょう。
画像検査と必要な追加検査
超音波検査やCT、MRIなどの画像検査を行うことで、組織の状態や被膜の厚さ、プロテーゼの位置などを詳しく調べます。
これらの検査により、拘縮の範囲や程度を客観的に把握することが狙いです。
また、感染や血流障害などの他の問題が隠れていないかの確認の意味でも用いられます。
検査結果を参考に、今後の方針を決定していくことになるでしょう。
拘縮と感染や血流障害の見極め
拘縮と似た症状を示す合併症として、感染や血流障害が挙げられます。
これらの状態は症状や対処法が異なるため、正しく見極めることが大切です。
| 発熱や腫れ、痛みを伴うことが多いとされる。 | 早急な対応が求められる。 | |
| 皮膚の色が変わったり、冷たく感じたりする場合がある。 | 拘縮とは異なる原因が考えられるため、適切な見極めが求められる。 |
拘縮になった鼻整形への対処法
拘縮が生じた場合、その程度や要因に応じて、さまざまな対処法が検討されます。
ここでは、具体的な対処や修正の選択肢について解説します。
手術以外の対処法と注意点
軽度の拘縮の場合、まずはマッサージや圧迫する方法などの手術以外の対処法を試みる場合があります。
また、ステロイド注射(炎症を抑える注射)を用いて炎症を抑え、被膜の厚みを減らす試みが行われることもあるでしょう。
ただし、これらの方法による変化には個人差があり、拘縮が進行している場合には十分な改善が得られない可能性もあります。
手術以外の対処法を行う際は、定期的に経過を観察し、状態を評価することが大切とされます。
再手術の方針と適切なタイミング
手術以外の対処法で改善が見られない場合や、拘縮が重度の場合は、再手術が選択肢となるかもしれません。
再手術では、拘縮の原因となっている組織や被膜を取り除き、鼻の形を整え直す作業が行われる場合があります。
タイミングは、初回の施術から十分な期間が経過し、組織が安定してから行うことが望ましいでしょう。
多くの場合、施術後6ヶ月から1年程度経過した時点での再手術が検討される傾向にあるとされています。
再発リスクと術後合併症への備え
再発のリスクに対しては、術後の管理を徹底し、炎症を抑えることが一つの方法と考えられています。
また、感染や血腫(血が溜まる状態)などの合併症には、清潔な環境での施術と適切な術後ケアが大切になってきます。
定期的な経過観察を通じて、早期に問題を発見し対処することが望ましいでしょう。
鼻整形で拘縮をどう予防して術後ケアする?
拘縮を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、対策はいくつか存在すると考えられます。
ここでは、施術前の準備から術後のケアまで知っておきたいポイントを紹介します。
術前カウンセリングでのリスク確認のポイント
施術前のカウンセリングで、ケロイド体質や過去の傷の治り方などを詳しく確認することが大切とされます。
また、喫煙や持病の有無なども、拘縮リスクに影響を与える要因とされています。
これらの情報をもとに、施術が適しているかどうかや方法を慎重に判断することになるでしょう。
素材選びと手術デザインの検討
使用する材料は、拘縮のリスクに影響する場合があります。
自家組織を用いる方法や、施術のデザインや組織の操作範囲を適切に設定することが重要と考えられます。
術後の生活指導と早期発見のためのチェック
施術後は、医師の指示に従って安静を保ち、鼻に過度な負担をかけないことが大切です。
また、定期的に鏡で鼻の状態を確認し、硬さや形の変化に気づいたら早めに医師に相談しましょう。
適切な生活習慣を維持し、喫煙や飲酒を控えることも大事です。
信頼できるクリニックと施術を行う医師の選び方
拘縮のリスクが気になる場合は、経験豊富で信頼できる医師のもとで施術を受けることが一つの方法と考えられます。
カウンセリングで疑問点をしっかり解消し、施術の流れやリスクについて十分に説明を受けるようにしましょう。
また、術後のフォロー体制が整っているクリニックを選ぶことも大切です。
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鼻整形と拘縮についてよくある質問
拘縮のリスクが心配なので、自分でマッサージをしても良いですか?
自己判断でのマッサージは推奨されません。
施術後の組織はデリケートな状態であり、不適切な圧力をかけると炎症を悪化させたり、組織を傷つけたりする可能性があるためです。
マッサージを行う場合でも、必ず施術を受けたクリニックの医師の指示に従い、正しい方法で行うようにしましょう。
拘縮の対処にかかる費用や保険適用は?
拘縮の対処や修正手術は、保険適用外の自由診療となる場合が多いです。
費用はクリニックや施術内容によって異なるため、事前に見積もりを取り、納得した上で行なうことをおすすめします。
場合によっては、初回の施術を受けたクリニックで保証制度が適用される可能性も考えられます。
拘縮と、術後にできる「しこり」とは違うものですか?
拘縮は、傷が治る過程で組織全体が硬く収縮する現象を指すことが多いです。
一方、「しこり」は、内部で血が固まったり(血腫)、組織が部分的に硬くなったりしたものを指す場合があり、拘縮とは異なる状態を示すこともあります。
気になる症状があれば、自己判断せず医師に相談しましょう。
【鼻プロテーゼに関する法的記載事項】
治療内容:鼻プロテーゼは、シリコンなどの人工物を鼻筋に入れ、鼻を高く通った形に整える手術です。
※オープン法・クローズ法を提供
標準的な治療回数:1回
標準的な費用:370,000円
標準的な治療期間:1〜2週間程度(ダウンタイムを含みます)
主なリスク:腫れ・痛み・内出血・異物感・熱感・発熱・だるさ・かゆみ・頭痛
使用機器:SA・UN・SI は未承認機器です。
※入手経路等:韓国SUN MEDICAL社のものを医師が個人輸入しています。
個人購入された医薬品などの使用によるリスクに関する情報は下記URLをご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/health_damage/index.html
※国内の承認医薬品等の有無:同一の成分や性能を有する国内承認医薬品等はありません。
※医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度について:万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の対象外となります。
※諸外国における安全性等に係る情報:韓国KFDA中国CFDA、ベトナムVFA、台湾TFDA、タイTFDA、インドネシアBPOMの認証を取得しています。
【鼻尖縮小術に関する法的記載事項】
治療内容:鼻尖縮小術は、丸みを帯びて広がった鼻先の軟骨や脂肪にアプローチして形を整える施術です。
標準的な治療回数:1回
標準的な費用:320,000円
標準的な治療期間:1〜3ヶ月程度(ダウンタイムを含みます)
主なリスク:腫れ・痛み・内出血・異物感・熱感・発熱・だるさ・かゆみ・頭痛
【鼻翼縮小術に関する法的記載事項】
治療内容:鼻翼縮小術は、小鼻の広がりや鼻の穴の大きさをバランスよく整える施術です。
※オープン法・クローズ法を提供
標準的な治療回数:1回
標準的な費用:500,000円
標準的な治療期間:1〜2週間程度(ダウンタイムを含みます)
主なリスク:腫れ・痛み・内出血・異物感・熱感・発熱・だるさ・かゆみ・頭痛
【鼻のヒアルロン酸注入に関する法的記載事項】
治療内容:ヒアルロン酸注入によって、鼻筋を自然に高く見せたり、鼻根や鼻先の形を整える施術です。
標準的な治療回数:1回
標準的な費用:77,000円
標準的な治療期間:数日程度(ダウンタイムを含みます)
主なリスク:腫れ・痛み・内出血・異物感・熱感・発熱・だるさ・かゆみ・頭痛
使用薬剤:ジュビダームビスタ ボラックスXC(承認薬)
【鼻中隔延長術に関する法的記載事項】
治療内容:鼻中隔延長術は、鼻の中心にある鼻中隔軟骨を延ばして、鼻先の高さ・角度・形を整える施術です。
※オープン法のみ提供
標準的な治療回数:2回(1週間後のタイミングで抜糸をします)
標準的な費用:500,000円
標準的な治療期間:3〜6ヶ月程度(ダウンタイムを含みます)
主なリスク:腫れ・痛み・内出血・異物感・熱感・発熱・だるさ・かゆみ・頭痛
【耳介軟骨移植(鼻尖形成術)に関する法的記載事項】
治療内容:耳介軟骨移植は、耳の軟骨を採取し、鼻先へ移植させる手術です。鼻先を高くしたり、前に出すことで鼻の形を整える施術です。
※オープン法・クローズ法を提供
標準的な治療回数:2回(1週間後のタイミングで抜糸をします)
標準的な費用:500,000円
標準的な治療期間:3〜6ヶ月程度(ダウンタイムを含みます)
主なリスク:腫れ・痛み・内出血・異物感・熱感・発熱・だるさ・かゆみ・頭痛
