「下の歯の歯並びだけが気になる」「上の歯は問題ないのに下だけ矯正できないのかな」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。

下の歯だけをマウスピースで整える「部分矯正」という方法は、軽度から中等度の歯並びの乱れに対して、目立ちにくく費用や期間を抑えられる可能性がある選択肢の一つです。

本記事では、マウスピースによる下の歯の部分矯正が適応できる症例や費用相場、施術期間の目安、そしてメリットとデメリットについて詳しく解説します。

ご自身の状況に合った矯正方法を選ぶための判断材料として、ぜひ参考にしてください。

監修者

AND美容外科 医師

根本 敦子

【経歴】
東京医科歯科大学歯学部付属病院にて臨床研修医
東京医科歯科大学歯学部付属病院摂食機能構築学専攻生修了
医療法人社団世航会デンタルオフィス 分院長勤務
九段下スターデンタルクリニック 勤務
医療法人社団有心会クリア歯科モノリス院 勤務
南青山矯正歯科クリニック 院長

【資格】
インビザラインGo ディプロマ取得
スリーアイインプラント ディプロマ取得
Biotouch Japan dental lip course ディプロマ取得
terna japan ヒアルロン酸注入・ボツリヌス治療 ディプロマ取得

※本記事は2025年11月時点の情報をもとにまとめています。
※マウスピース矯正は保険診療が適用されない自由診療となります。
※記事内の金額は税込です。
※マウスピース矯正に用いられる機器の中には、国内において医薬品医療機器等法上の承認を受けていないものもあります。未承認の医薬品・医療機器については、「個人輸入において注意すべき医薬品等について」(厚生労働省)をご覧ください。

下の歯だけをマウスピースで整えることはできる？

下の歯だけをマウスピースで整えることは、条件が整えば可能です。

ただし、すべてのケースで対応できるわけではなく、歯並びの状態や噛み合わせによって判断が異なります。

まずは部分矯正とはどのようなものなのか、全体を整える方法である全顎矯正との違いと一緒に見ていきましょう。

下の歯の部分矯正でできること

下の歯の部分矯正では、主に前歯部分のあまり大きくない歯並びの乱れを整えることを目指します。

具体的には、わずかなガタガタ（叢生）や隙間、前歯のわずかな傾斜などが対象となる場合があります。

マウスピース型矯正装置は、透明なプラスチックで作られており、装着すると歯に力が加わって少しずつ移動していく仕組みです。

歯の根元にある膜に適切な力が加わると、歯が動く先の骨が少しずつ吸収され、動いた後のすき間に新しい骨が作られるとされています。

この骨の作り替えを利用して、歯はゆっくりと移動していくという仕組みです。

部分矯正と全顎矯正の違い

部分矯正と全顎矯正の大きな違いの一つは、動かす歯の範囲です。

部分矯正は、下の前歯など限られた範囲の歯並びを整えることを目的としています。

一方、全顎矯正は上下すべての歯を対象に、噛み合わせや顎の位置関係まで含めた総合的な調整を行います。

部分矯正は整える範囲が狭い分、期間は短くなる傾向があり、費用も抑えられる可能性もあります。

しかし、噛み合わせのバランスや顎の骨格の問題などには対応が難しい場合があるため、適応できるケースは限られてしまうでしょう。

マウスピースで整えられる下の歯と向かないケースは？

マウスピースを使って下の歯だけを整えられるかどうかは、歯並びの状態によって異なります。

あまり大きくない問題であれば対応できる可能性がありますが、歯並びや噛み合わせの大きなズレや顎の骨格の問題には向かないことがあります。

ここでは、マウスピースで整えられる歯並びと向かない歯並びについて詳しく見ていきましょう。

整えられる歯並びの具体例

マウスピースで下の歯だけを整えられる可能性があるのは、主に以下のようなケースです。

これらの状態では、歯を動かす量が少なく、歯を傾けたり、沈み込ませたりするといったシンプルな歯の動きで対応できる可能性があります。

また、上の歯の歯並びや噛み合わせに問題がなく、下の歯だけを動かしても全体のバランスが崩れない場合に適応されるでしょう。

口の中をスキャンする機械（口腔内スキャナー）で歯型を取り、立体的なシミュレーションをすることで、開始前と完了後の予測を確認できることもあります。

どの程度矯正によって歯並びが整う見込みがあるか、事前に把握しておきましょう。

向かない歯並びの具体例

一方で、以下のような歯並びや状態では、マウスピースでの部分矯正が難しい場合があります。

これらのケースでは、歯を大きく動かす必要があったり、噛み合わせ全体を調整しなければならなかったりするため、全顎矯正やワイヤー矯正などの他の方法が適しているかもしれません。

また、下の歯だけを動かすことで上下の歯の接触バランスが悪化する恐れがある場合も、部分矯正は避けることを推奨します。

顎の骨格の問題や歯並びや噛み合わせの大きなズレには対応が難しい場合があることを理解しておくことが大切です。

下の歯だけを整える矯正の選択肢

下の歯だけを整える方法には、マウスピース矯正以外にもいくつかの選択肢があります。

以下の表は、主な方法の特徴をまとめたものです。

方法	目立ちにくさ	適応できる範囲	取り外し
マウスピース矯正	目立ちにくい	あまり大きくない乱れ	可能
ワイヤー矯正(表側)	目立ちやすい	幅広い状態	不可
ワイヤー矯正(裏側)	目立ちにくい	幅広い状態	不可

マウスピース矯正は目立ちにくい点と取り外しができる点が特徴とされますが、適応できる範囲には制限があります。

一方、ワイヤー矯正は装置が固定式で目立つことがありますが、幅広い状態に対応しやすい方法です。

どの方法が適しているかは、歯並びの状態や生活スタイル、費用などを総合的に考慮して判断することになるでしょう。

マウスピースで下の歯だけ矯正する費用と期間はどれくらい？

下の歯だけをマウスピースで矯正する場合、費用と期間は全顎矯正と比べて抑えられる傾向があります。

ただし、歯並びの状態や必要な移動量によって個人差があるため、あくまで目安として捉えてください。

ここでは、費用の内訳や支払い方法、かかる期間について詳しく解説します。

費用の内訳と相場

マウスピースによる下の歯だけの部分矯正にかかる費用は、クリニックや使用する装置によって異なりますが、相場は30万円から50万円程度とされています。

全顎矯正の場合は70万円から100万円程度が相場とされているため、部分矯正は一般的には費用を抑えられるといえるでしょう。

費用の内訳には、初診料やカウンセリング料、検査料、マウスピースの作成費用、マウスピースの調整料などが含まれる場合があります。

さらにクリニックによっては、デジタルシミュレーションや口腔内スキャナーの費用が含まれていることもあります。

また、完了後に使う歯並びの後戻りを防ぐ装置（リテーナー）の費用が別途かかる場合もあるため、事前に総額を確認しておくことが大切です。

保険適用や支払い方法

マウスピース矯正は、見た目を整えることを目的とする場合、公的な医療保険が適用されない「自由診療」に分類されます。

そのため、基本的には全額自己負担となるケースが多いです。

ただし、医療費控除の対象となる場合があり、年間の医療費が一定額を超えた場合には税金の還付を受けられる可能性があります。

支払い方法については、現金払いやクレジットカード払いのほか、デンタルローンや分割払いを利用できるクリニックもあります。

一括での支払いが難しい場合は、無理のない支払いプランを相談してみることがおすすめです。

矯正にかかる期間の目安と影響する要因

下の歯だけをマウスピースで矯正する場合にかかる期間は、6ヶ月から1年程度が目安とされています。

一方、全顎矯正の場合は2年程度かかる場合があるとされているため、部分矯正は期間を短縮できる可能性があるでしょう。

かかる期間に影響する要因には、以下のようなものが考えられます。

マウスピースは取り外しができるため、装着時間を守らないと予定通りに歯が動かず、施術期間が延びる恐れがあるでしょう。

また、矯正後は歯が元の位置に戻ろうとする力が働くため、後戻りを防ぐ保定期間を持つことが求められます。

保定期間中はリテーナーという装置を使用し、歯並びを安定させることが望ましいとされています。

マウスピースで下の歯だけ整えるメリットは何？

マウスピースで下の歯だけを整える方法には、さまざまなメリットがあります。

特に、見た目や日常生活への影響を気にする方にとって、よい選択肢となる可能性があるでしょう。

ここでは、マウスピース矯正の主なメリットについて詳しく見ていきます。

目立ちにくさと取り外しの利便性

マウスピース型矯正装置は、透明なプラスチックで作られているため、装着していても目立ちにくいとされています。

仕事や人前に出る機会が多い方でも、周囲に気づかれにくいという利点があります。

また、取り外しが可能なため、食事の際は外して普段通りに食べられるでしょう。

ワイヤー矯正のように食べ物が装置に挟まる心配がなく、歯磨きもしやすいため、口腔内を清潔に保ちやすい方法です。

大切なイベントや写真撮影の際にも、一時的に外すことができる点は、日常生活における柔軟性が高いためメリットといえます。

痛みや違和感が少ないとされる点

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比べて痛みや違和感が少ないとされています。

これは、歯に加わる力が穏やかで、段階的に歯を動かしていくためです。

新しいマウスピースに交換した直後は締め付け感がある場合がありますが、通常は数日で慣れることが多いでしょう。

また、ワイヤーやブラケットが口の中に当たることがない点も挙げられます。

矯正範囲を限定できる点

下の歯だけを整えるといった部分矯正は、動かす歯の範囲を限定する方法です。

そのため、すべての歯を動かす全体矯正と比べた場合、矯正にかかる期間が比較的短くなります。

また、使用するマウスピースの枚数や通院回数が少なくなる可能性があり、費用面での負担も抑えられる傾向があります。

マウスピースで下の歯だけを整えるデメリットは何？

マウスピースによる下の歯だけの矯正には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットや注意点も存在します。

これらを理解した上で、自分に適した方法かどうかを判断しましょう。

調整が難しい噛み合わせや顎位の問題

下の歯だけを整える部分矯正では、上下の歯の接触や顎の位置関係を総合的に調整することが難しい場合があります。

下の歯の並びだけを整えても、上の歯との噛み合わせが合わなくなる恐れがあるため、慎重な診断が求められるでしょう。

特に、骨格的な問題や上下の顎のバランスに問題があるケースでは、部分矯正では対応が難しい場合があります。

噛み合わせのバランスが崩れると、顎の関節への負担や歯の摩耗、咀嚼機能の低下といった問題が生じてしまうリスクも。

そのため、全体的なバランスを考慮した診断を受けることが望ましいでしょう。

自己管理と後戻りを防ぐことの重要性

マウスピース矯正は取り外しができる利便性がある一方で、装着時間を守るという自己管理が矯正の結果に影響する場合があります。

推奨される装着時間は1日20時間から22時間とされており、これを守らないと歯が予定通りに動かず、施術にかかる期間が延びる恐れがあるでしょう。

また、矯正後は歯が元の位置に戻ろうとする力が働くため、後戻りを防ぐ保定期間が大切とされています。

リテーナーによる保定を怠ると後戻りが起こる可能性があるため、長期的な視点で取り組むことが大切でしょう。

マウスピース矯正ならAND美容外科へ

AND美容外科は、マウスピース矯正をはじめとした豊富な矯正メニューをご用意しています。

AND美容外科は、医療の力で「短期間で結果を出す」ことをコンセプトに、さまざまな施術を提供しています。

無料カウンセリングでは丁寧にお悩みや目標をうかがい、あなたに合ったマウスピース矯正方法をご提案します。

カウンセリングのご予約は公式LINEにて24時間・365日受け付けています。

まずはお気軽にご相談ください。

■マウスピース矯正（税込）

項目	金額
インビザラインGo（片顎）	572,000円
インビザラインGo（両顎）	748,000円
初診料（カウンセリング）	5,500円
クリンチェック	44,000円
リテーナー（片顎）	44,000円
リテーナー（両顎）	88,000円
毎回の診察料	5,500円／回

※自由診療（保険適用外）・税込価格
※副作用・リスク：歯肉の退縮や、歯根吸収、虫歯、歯周病、歯肉炎、歯の脱灰
※治療回数：2～24回、治療期間：3ヶ月～2年

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下の歯のマウスピース矯正についてよくある質問