マウスピース矯正後に歯並びが戻る原因とは?後戻りを防ぐ対策法
「せっかくマウスピース矯正で歯並びが整ったのに、また元に戻ってしまうのではないか」と不安に感じる方は多いです。
マウスピース矯正の後戻りは実際に起こりうるとされています。
しかし、適切な知識と対策があれば、歯並びを長期間維持することにつながるでしょう。
この記事では、マウスピース矯正の後戻りが起こる原因から、具体的な予防方法、万が一後戻りが発生した場合の対処法まで、詳しく解説していきます。
後戻りに対する不安を解消し、自信を持って保定期間を過ごすための実践的な情報をお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
東京医科歯科大学歯学部付属病院にて臨床研修医
東京医科歯科大学歯学部付属病院摂食機能構築学専攻生修了
医療法人社団世航会デンタルオフィス 分院長勤務
九段下スターデンタルクリニック 勤務
医療法人社団有心会クリア歯科モノリス院 勤務
南青山矯正歯科クリニック 院長
【資格】
インビザラインGo ディプロマ取得
スリーアイインプラント ディプロマ取得
Biotouch Japan dental lip course ディプロマ取得
terna japan ヒアルロン酸注入・ボツリヌス治療 ディプロマ取得
※本記事は2025年10月時点の情報をもとにまとめています。
※マウスピース矯正は保険診療が適用されない自由診療となります。
※記事内の金額は税込です。
※マウスピース矯正に用いられる機器の中には、国内において医薬品医療機器等法上の承認を受けていないものもあります。未承認の医薬品・医療機器については、「個人輸入において注意すべき医薬品等について」(厚生労働省)をご覧ください。
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マウスピース矯正で歯並びが戻る理由とは?
マウスピース矯正の後戻りは、実は歯の自然な性質によるものです。
歯を支える歯根膜という組織には、元の位置に戻ろうとする「記憶機能」があり、すべての矯正施術で起こる可能性があります。
歯根膜の記憶機能が後戻りを引き起こす
マウスピース矯正によって移動した歯は、施術完了直後から元の位置に戻ろうとする力が働きます。
これは歯根膜という歯と骨をつなぐ組織の特性によるものです。
歯根膜には弾性があり、歯が新しい位置に移動しても、しばらくの間は元の位置を「記憶」し続けます。
施術直後の6か月間は特に歯根膜の働きが活発とされ、この期間の管理が後戻りの予防に役立つとされています。
歯周組織の適応に時間がかかる
歯を支える歯槽骨や歯茎、口周りの筋肉は、歯の新しい位置に合わせて徐々に適応していきます。
しかし、これらの組織が完全に安定するまでには時間が必要です。
特に成人の場合、組織の適応能力が若い頃と比べて低下している傾向にあるため、より長期間の保定が重要になります。
また、加齢とともに顎の骨格や筋肉のバランスが変化し、前歯が重なりやすくなる傾向も見られます。
後戻りには個人差がある
後戻りの程度や速度には個人差があります。
年齢、施術前の歯並びの状態、施術期間の長さなどによって、後戻りのリスクは変わるとされています。
特に元々の歯並びが大きく乱れていた方や、施術期間が長期間に及んだ方は、後戻りのリスクが高い傾向にあるでしょう。
そのため、一人ひとりの状況に応じた適切な保定計画を立てることが大切です。
マウスピース矯正の後戻りの主な原因
マウスピース矯正の後戻りには、さまざまな原因があります。
重要な原因の一つはリテーナーの装着不備ですが、それ以外にも日常的な習慣や口腔機能の問題が関係しているかもしれません。
これらの原因を理解することで、適切な予防策を講じることにつながるでしょう。
リテーナーの装着時間不足
後戻りの大きな原因の一つは、保定装置(リテーナー)の不適切な使用です。
施術直後は歯が元の位置に戻ろうとする力が強く作用するため、この時期のリテーナー装着が大切なポイントの1つです。
歯科医師から指示された装着時間を守らず、自己判断で装着を中断したり、装着時間を短縮したりすることで、後戻りのリスクが高まることがあります。
施術完了直後は1日20~22時間以上の装着が推奨され、食事や歯磨き以外の時間はリテーナーを装着し続けることが基本とされています。
舌癖や口呼吸
舌の位置や動きの癖、口呼吸などの口腔機能習癖も後戻りの重要な原因となることがあります。
正常な鼻呼吸時における舌の適切な位置は、上顎前方のスポットポジションと呼ばれる部位です。
しかし、口呼吸が習慣化している方では、舌が低い位置に置かれ、歯に直接圧力がかかってしまいます。
舌突出癖は特に前歯部の後戻りに影響を与える要因として知られており、持続的な圧力により歯の位置が徐々に変化してしまいます。
日常の生活習慣
日常生活における様々な習慣も後戻りに影響を与える要因の一つです。
夜間の歯ぎしりや無意識の食いしばりは、歯に過度な負担をかけ、後戻りを促進する可能性があります。
以下のような習慣も要注意です。
- 片側でばかり噛む癖
- 硬い食べ物の頻繁な摂取
- 頬杖をつく習慣
- 唇を噛む癖
- ペンや爪を噛む癖
これらの習慣は歯に不均等な負担をかけ、歯の移動を誘発する可能性があります。
マウスピース矯正の後戻りを防ぐ方法は?
マウスピース矯正の後戻りは適切な対策により予防することが期待されます。
重要なのはリテーナーの正しい使用ですが、それに加えて口腔機能の改善や生活習慣の見直しも大切なポイントです。
ここでは実践できるであろう具体的な予防方法をご紹介します。
リテーナーの正しい装着方法と期間
後戻り防止において重要なのは、リテーナーを適切に使用することです。
施術完了直後から装着し、歯周組織の安定が確認されれば、段階的に装着時間を減少させていきます。
| 期間 | 装着時間 | 注意点 |
|---|---|---|
| 初期保定期間(0~6か月) | 20~22時間/日 | 食事・歯磨き以外は装着が推奨される |
| 中期保定期間(6か月~1年) | 12~16時間/日 | 就寝時は装着が推奨される |
| 長期保定期間(1年以降) | 8~10時間/日 | 就寝時のみでも効果が期待される |
自己判断による装着時間の短縮は後戻りリスクを高める可能性があるため、必ず歯科医師の指示に従って調整することが大切です。
口腔機能訓練で舌癖を改善
口呼吸から鼻呼吸への改善や、舌の正しい位置づけは後戻り防止において重要な要素です。
あいうべ体操は口呼吸改善のための訓練法として知られています。
4つの基本動作を繰り返すことで、口周りの筋肉と舌の機能を強化することにつながると言われています。
- 「あー」で口を大きく開く(1秒間キープ)
- 「いー」で口を横に広げる(1秒間キープ)
- 「うー」で口を前に突出する(1秒間キープ)
- 「べー」で舌を顎先方向に伸ばす(1秒間キープ)
この訓練を1日3セット、各10回実施することで、口周りの筋肉を鍛えることが期待できるかもしれません。
定期的な歯科検診とメンテナンス
定期的な歯科検診により、歯並びの微細な変化を早期に検出することが可能になります。
歯周病や虫歯は歯の健康に直接的な影響を与え、後戻りの原因となる可能性があるため、これらの問題の早期発見が重要です。
また、リテーナーの状態確認や適合性のチェックも定期検診で行うことができます。
リテーナーに不具合や破損が生じた場合は、速やかな対応が必要です。
マウスピース矯正で後戻りした場合の対処法は?
万が一後戻りが発生しても、早期発見と適切な対処により改善することが可能な場合があります。
後戻りの程度によって対処法は異なりますが、軽度であれば負担の少ない方法で対応できるかもしれません。
ここでは後戻りが起こった場合の具体的な対処法を紹介します。
軽度の後戻りには部分的な再施術
軽度の前歯部の後戻りの場合、マウスピース矯正の部分的な矯正にによる対応が可能な場合があるかもしれません。
部分的な修正であれば、施術期間は半年から1年程度、費用は10~40万円程度とされています。
ワイヤー矯正による部分矯正の場合、かかる費用は25~70万円程度となりますが、より改善につながる可能性があります。
早期発見により軽度の段階で対処することで、お客様の負担を軽減することにつながるでしょう。
重度の後戻りには全体的な再施術
全体的な再施術が必要な場合、施術方法によって費用が異なります。
マウスピース矯正では40~90万円、表側ワイヤー矯正では50~100万円程度の費用が必要です。
また、精密検査や再診断費用として追加で1~6万円、再設計費用として1~3万円程度が発生する場合もあります。
過去に通院していた歯科医院での保証期間が終了している場合は、新規契約が必要となることもあるかもしれません。
予防重視のアプローチが大切
後戻りへの対処は可能な場合がありますが、予防に重点を置くアプローチが推奨されます。
定期的な歯科検診により、変化の兆候を早期に発見することが大切です。
また、リテーナーの適切な使用と口腔機能の維持により、後戻りのリスクを軽減することにつながるかもしれません。
施術完了後も歯科医師との連携を継続し、長期的な歯並び維持を目指しましょう。
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■マウスピース矯正(税込)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| インビザラインGo(片顎) | 572,000円 |
| インビザラインGo(両顎) | 748,000円 |
| 初診料(カウンセリング) | 5,500円 |
| クリンチェック | 44,000円 |
| リテーナー(片顎) | 44,000円 |
| リテーナー(両顎) | 88,000円 |
| 毎回の診察料 | 5,500円/回 |
※自由診療(保険適用外)・税込価格
※副作用・リスク:歯肉の退縮や、歯根吸収、虫歯、歯周病、歯肉炎、歯の脱灰
※治療回数:2~24回、治療期間:3ヶ月~2年
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マウスピース矯正についてよくある質問
マウスピース矯正にまつわるよくある質問をまとめました。
- 親知らずの萌出は後戻りに影響しますか?
- リテーナーにはどんな種類がありますか?
- リテーナーをなくしたり、壊したりした場合はどうすればよいですか?
それぞれ解説します。
親知らずの萌出は後戻りに影響しますか?
親知らずの萌出が直接的に前歯の歯並びを乱すという科学的根拠は限定的とされています。
しかし、親知らずによる圧迫感や不快感が噛み合わせに影響を与える可能性があります。
親知らずが萌出している場合は、歯科医師と相談して適切な対処法を検討することが大切でしょう。
リテーナーにはどんな種類がありますか?
リテーナーには、主に2つの種類があります。
ひとつはワイヤーとプラスチックでできた「ホーレータイプ」、もうひとつは透明な「クリアタイプ」です。
どちらもメリット・デメリットがあるため、医師と相談して選択できるでしょう。
リテーナーをなくしたり、壊したりした場合はどうすればよいですか?
速やかに歯科医院に連絡し、相談することが大切です。
放置すると後戻りが進行する可能性があるでしょう。
新しいリテーナーの再製作が必要になることが考えられます。
【マウスピース矯正に関する法的記載事項】
施術内容:マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の装置を用いて歯並びを整える矯正治療です。短期間での改善を目指せる「インビザラインGo」は、前歯の軽度な乱れやすき間など、特定の症状に対応したプログラムです。
標準的な治療回数:2〜24回
標準的な治療期間:3か月~2年(治療回数、期間には個人差があります)
標準的な費用:572,000〜841,500円
おもなリスク:副作用:歯肉の退縮や、歯根吸収、虫歯、歯周病、歯肉炎、歯の脱灰
※マウスピース型矯正システム「インビザラインGO」は未承認機器です。
※入手経路等:アメリカのAlign Technology, Inc.が開発した製品を、正規の販売代理店を通じて入手しています。
輸入された医薬品などの使用によるリスクに関する情報は下記URLをご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/health_damage/index.html
※国内の承認医薬品等の有無:国内にもマウスピース型矯正装置として医薬品医療機器等法の承認を受けているものは複数存在します。
※医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度について:万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の対象外となります。
※諸外国における安全性等に係る情報:重大な副作用についての報告はありません。
