「せっかく植毛手術を受けたのに髪の毛が抜けてきた…」

植毛手術を受けた後、このような不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

この現象は「ショックロス」と呼ばれ、多くの場合、一時的なものです。正しい知識とケアで、回復へとつながる可能性は充分にあります。

この記事では、植毛後のショックロスについて、その仕組みや回復までの期間、知っておきたい注意点まで、わかりやすく解説します。

監修者

AND美容外科 監修医師/韓国美容外科学会会長

林 鍾学

【経歴】
大阪大学皮膚科・形成外科
大阪警察病院形成外科勤務
愛媛大学医学部非常勤講師
インディアナ大学医学部解剖学講座講師

※本記事は2025年11月時点の情報をもとにまとめています。
※植毛手術は保険診療が適用されない自由診療となります。
※記事内の金額は税込です。
※植毛手術に用いられる機器の中には、国内において医薬品医療機器等法上の承認を受けていないものもあります。未承認の医薬品・医療機器については、「個人輸入において注意すべき医薬品等について」（厚生労働省）をご覧ください。

植毛後のショックロスとは？発生する確率は？

ショックロスとは、植毛手術を受けた後に、既存の周りの髪の毛が一時的に抜け落ちてしまう現象のことです。

この症状は「珍しいものではない」と考えられています。

手術によって頭皮に一時的なストレスがかかることが、この現象を引き起こす原因と考えられています。

ショックロスが起こる仕組み

植毛手術では、髪の毛の根元（毛根）を採取して、薄毛が気になる部分に移植します。

この際、頭皮に小さな切開を行いますが、その影響で周辺の毛根への血流が一時的に滞ってしまうことがあります。

血流が悪くなると、毛根は十分な栄養を受け取れなくなり、一時的に髪が抜けやすくなるのです。

また手術時の麻酔や炎症反応も、一時的に毛根へ影響を与える要因として考えられています。

このような要因で、ショックロスが起きると考えられています。

ショックロスと一時的脱毛の違い

植毛後には「ショックロス」と「一時的脱毛」という、よく似た2つの現象が起こることがあります。

どちらも、時間の経過とともに再び生えてくる可能性が高いでしょう。

ショックロスが起こりやすい部位

ショックロスは、おもに植毛を行った部分の周辺で起こりやすいと言われています。特に、髪の毛が細い前頭部や頭頂部で発生する傾向があります。

とはいえ個人差があり、移植部位から離れた場所で起こる可能性もあります。

植毛のショックロスはどのくらいの期間で回復する？

ショックロスはいつ始まり、いつ終わるのでしょうか。期間の目安を知っておけば、不安も軽減されますよね。

多くの場合、一定の期間を経て徐々に改善していく傾向がみられます。

ただし、回復期間には個人差があることを理解しておきましょう。

ショックロスの発生時期

ショックロスは一般的に、植毛手術後2週間から3ヶ月の間に発生することが多いとされています。

特に、手術後1ヶ月から2ヶ月程度で髪の抜け毛が増加するケースが多く、手術直後ではなく、少し時間が経過してから症状が現れることが特徴的です。

これは、手術による影響が毛周期に徐々に表れてくるためと考えられています。

回復までは1年程度かかる場合も

回復の過程では、最初は細く短い髪から始まり、徐々に太くしっかりとした髪に成長していく傾向があるでしょう。

個人差がありますが、一般的に6ヶ月～1年程度かかることがあります。

焦らず、ゆったりとした気持ちで経過を見守りましょう。

回復までの髪の毛の変化

ショックロスが起こった後、髪は段階的に回復していきます。

一般的に、次のように変化していくでしょう。

時期	変化の内容
手術後2〜3ヶ月	抜け毛が落ち着き、新しい髪が出始める
手術後4〜6ヶ月	細い髪が徐々に生え揃い始める
手術後6〜12ヶ月	髪の太さや密度が改善していく
手術後12ヶ月以降	より自然な仕上がりに近づいていく

この期間中は、定期的に医師の診察を受けることで、適切な経過観察につながるでしょう。

ショックロスの対処法と注意点

ショックロスが起こった際にどのようなケアをすれば良いのか、具体的な方法をご紹介します。

適切なケアを行うことで、回復をサポートできる可能性があります。

また、日常生活で気をつけるべき点も合わせて確認しておきましょう。

頭皮ケアの基本

ショックロスが起きている期間は、頭皮を清潔に保つことが大切です。

洗髪は、頭皮に強い刺激を与えないよう、優しく行うことを心がけましょう。

炎症予防と栄養管理も大切

頭皮の炎症を予防することも、毛根への悪影響を抑えるために大切です。

紫外線対策として帽子を着用したり、日陰を選んで歩いたりすることが大切です。

栄養面では、たんぱく質やビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することで、髪の成長をサポートできるでしょう。

特に亜鉛や鉄分、ビオチンなどは髪の健康に深く関わっています。

日常生活の注意点もある

十分な睡眠と適度な運動は、頭皮の血行を良くし、髪の成長を助ける効果を期待できます。

ストレスを溜めないことも重要です。リラックスできる時間を作ったり、趣味を楽しんだりして、心身ともに健やかな状態を保ちましょう。

また、喫煙や過度な飲酒は血行を悪くする原因となるため、控えたほうがいいでしょう。

ショックロス期間中に医師へ相談すべきケース

ショックロスは多くの場合、自然に回復しますが、中には医師への相談が必要なケースもあります。

ここでは、医師に相談すべきケースを紹介します。

痛みや炎症などがあるとき

以下のようなケースでは、早めに専門医に相談することをおすすめします。

AGA治療薬を併用したいとき

植毛後のショックロス対策として、AGA（男性型脱毛症）治療薬の使用を検討される方もいるでしょう。

フィナステリドやミノキシジルといった薬剤は、脱毛の進行を抑えたり、発毛を促進したりする効果が期待できます。

ただしこれらの薬剤の使用については、必ず医師と相談し、適切な指導のもとで行うことが重要です。

またご自身の状態や手術の経過に合わせて、使用する時期や種類を慎重に検討する必要があります。

定期的に経過を診察してもらう

植毛手術後は、定期的に医師の診察を受け、経過を確認することをおすすめします。

多くのクリニックでは、手術後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月といったタイミングで診察を行っています。

これらの診察では、ショックロスの回復状況や、移植した毛がしっかりと根付いているかなどを専門的に評価してもらえます。

気になることや不安なことがあれば、診察の際に遠慮なく医師に質問するようにしましょう。

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植毛後のショックロスについてよくある質問

植毛後のショックロスについて、よくある質問と回答を紹介します。